Q. Patrick / The Wrong Envelope and Other Cases of Lt. Timothy Trant

取り違えた封筒

ティモシー・トラント警部補の事件簿

Q・パトリック 著/三門優祐 訳/森咲郭公鳥 装画・装幀

ニューヨーク市警殺人課のティモシー・トラント警部補は、今日も優雅に殺人事件の謎を解く!

◎推薦コメント

合作者たちに祝福を。トラント警部補こそ、エラリー・クイーンと刑事コロンボをつなぐアメリカ本格の「失われた環」なのですから!

法月綸太郎

◎海外識者の評価

アメリカ犯罪小説界のNo.1はパトリック・クェンティンだ。

フランシス・アイルズ

「今日最良の犯罪小説短編の作家は誰か」と問われたときにはただ一言、「パトリック・クェンティン」と答えるつもりだ。

ジュリアン・シモンズ

パトリック・クェンティンの短編集は「探偵小説のプロット技術」を学ぶための最良の教本の一つとなるだろう。

アントニイ・バウチャー

Commentary

解説・三門優祐

 一九四二年にアメリカ合衆国に帰化したウェッブとウィーラーは軍に徴兵され、ウェッブは南太平洋の戦場にて、弱視のウィーラーは国内の軍事施設にて、それぞれの立場で戦争に参加していく。そのため、チームでの新作執筆は滞り、ティモシー・トラントものの新作が書かれることもなかった。
 一九四五年、ウェッブの帰国と併せてチームが再稼働すると、ウィーラーは「ティモシー・トラントシリーズの作品をもっと書こうじゃないか」と積極的に働きかけたという。それにより、本書に収録された優れた中短編が次々に生み出されていくことになったのである。

巻末解説より抜粋

Story

ニューヨーク市警殺人課きっての伊達男、トラント警部補が出くわす、謎また謎の華麗なる冒険――

上流階級に生まれ、法曹界での栄達を約束されていたティモシー・トラントは、輝かしい将来をすべて擲ち、大学卒業後、ニューヨーク市警への奉職を決めた。それは尋常ならざる謎、そして抜け目ない犯罪者との知的闘争を愛するがため。刑事らしからぬ優雅なファッション、そして上流階級へのコネクションに不満を抱き「上流階級専門の刑事」と陰口を叩く同僚たちなどどこ吹く風、トラント警部補は今日も趣味の殺人事件捜査に勤しむのであった。

トラントが殺人事件と遭遇するのは……大金持ちの誕生パーティ、上流階級専門の女子学校、往年の名女優のアパートメント、友人たちと興じるカードのテーブル、劇場のオープニング・ナイト……すなわち、ニューヨークにおいて、優雅と上品が極まった場所だ。あるいは、アルプスのスキーリゾート、ヴェネツィアの豪邸、リビエラの、煌びやかなカジノとは対照的に静まり返った港湾区画……どんなに麗しい場所であっても人と人とが交わる限り、殺人は決してなくならない。上流階級の殺人の、フーダニット/ハウダニット/ホワイダニットは、ティモシー・トラント警部補の論理きらめく頭脳におまかせあれ!

エラリー・クイーンに続く、もう一つの合作コンビ《Q・パトリック=パトリック・クェンティン》によって第二次大戦後に展開された、謎解きミステリの精華たるシリーズ二〇編を集成。

Background

本書の編集について

 本書の編纂にあたっては、クラシックミステリ復刊を旨とするアメリカの出版社クリッペン&ランドリュから二〇一九年に刊行された作品集The Cases of Lieutenant Timothy Trantおよびその編者たるカーティス・エヴァンズの影響が大きい。ただしこの二〇一九年版の作品集では、書誌情報が厳密に確認されておらず、初出誌であるThis Weekほかを底本とした短編と、二次掲載誌である『エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン』(以下『EQMM』)を底本とした短編が混在していた(その結果、発表順とされている掲載順も誤ったものとなっている)。ある時期までの『EQMM』が、転載する短編の一部の削除・改変、題名の変更といった、著者の意図によるものか不明な編集を繰り返しているのは周知の通りである。実際、本書収録短編でも「アルプスの殺人」「町の金髪、田舎の金髪」「ローラ、其は氷の女」などでは特に、初出版と『EQMM』掲載版で、表記・体裁に乖離が見られた。このような状況を鑑み、著者の意図を最大限尊重するため、本書における底本はあくまでも初出誌に統一した。そのため本書が、クリッペン&ランドリュ版と内容を異にすることはお断りしておく。

 また、本書の翻訳に当たっては、宮澤洋司氏およびその訳書『ティモシー・トラントの殺人捜査』から多大な示唆を受けている。氏の、私家本を通じて英米の短編を紹介する企画「翻訳道楽」に最大限の敬意を表す。

収録作

 白いカーネーション 猫の石膏像 クローゼットの死体 脚光と殺人と 殺しのワンシーン 取り違えた封筒 アルプスの殺人 誰が人魚を殺したか 町の金髪、田舎の金髪 ローラ、其は氷の女 あからさまな殺人 リビエラの死 死とカナスタ 土曜日の夜の死 朝飯前の殺人 魅惑のオープニング・ナイト お祭りの死 拳銃と薔薇と どうですか、あと一声……落札! 二匹の危険な牝たち

Introduction

訳者が本書を語る

訳者による、本書の収録作についてのご紹介です。

Readers

読者さまの声

『取り違えた封筒』カバー
カバー
『取り違えた封筒』帯付きカバー
帯付きカバー

Bibliography

ティモシー・トラント警部補物の20編を日本で初めて集成!

『取り違えた封筒』帯付きカバー

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書名
取り違えた封筒 ティモシー・トラント警部補の事件簿
著者
Q・パトリック
編訳
三門優祐
発売日
2026年9月5日
版元
行舟文化
判型・仕様
B6判・並製PUR
ページ数
400ページ
価格
定価1,700円+税 / 1,870円(税込)
ISBN
978-4-909735-23-2
装画
森咲郭公鳥
装幀
森咲郭公鳥
解説
三門優祐

Author

Q・パトリック

Q. Patrick

イギリス生まれのアメリカ人作家リチャード・ウィルスン・ウェッブ(一九〇一~六六)が合作者とともに用いたペンネーム。最初期作を除くほとんどの作品で、ヒュー・キャリンガム・ウィーラー(一九一二~八七)が合作者を務める。同コンビはパトリック・クェンティン、ジョナサン・スタッグの名義でも多数作品を発表しており、アメリカにおける探偵小説黄金時代を代表する作家の一人である。ウェッブの没後、ウィーラーは劇作家として頭角を現して多くの栄誉に輝いた。代表作に『俳優パズル』、『女郎蜘蛛』(以上創元推理文庫)、またエドガー賞を受賞した短編集『金庫と老婆』(ハヤカワ・ミステリ)がある。

Editor and Translator

三門優祐

Yusuke Mikado

一九八六年生、上智大学卒。在学中はワセダミステリクラブに所属。英米のクラシックミステリを愛好し、「アントニイ・バークリー書評集」(二〇一四~一七、全7巻)、「Re-ClaM」(二〇一八~継続中)ほかのファンジンを刊行する傍ら、私家本翻訳を行っている。ゾラン・ジヴコヴィチ『本を読む女』、『フョードル・ミハイロヴィチの四つの死と一つの復活』、『作家 幽霊作家』(以上盛林堂ミステリアス文庫)、サミュエル・ロジャース『血文字の警告』、クリストファー・セント・ジョン・スプリッグ『完全不在証明』(以上別冊Re-ClaM)。

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